Aethos2乗りが、富士ヒル目線でSL8と比べてみた

私はAethos2に乗っている。レースで勝つために買ったわけではなく、普段のライドを気持ちよく走るために選んだバイクだ。それなのに富士ヒルゴールドを本気で狙い始めたら、ふと「Tarmac SL8の方が速いんじゃないか」と気になってしまった。せっかくなので、AIと一緒に自分のAethos2を富士ヒル目線で見直してみる。

赤いS-WORKS Aethos2のヘッドチューブまわり
私の相棒、赤いAethos2。レース用に買ったわけではないのに、気づけば富士ヒルのことばかり考えている。

全部読むのが面倒な人向けまとめ

  • 結論富士ヒルではSL8がわずかに速そう。でも差は小さく、Aethos2で十分。買い替えない
  • 設計思想エネルギーを注ぐTarmac / 寄り添ってくれるAethos
  • 勾配8%が分かれ目。富士ヒル(平均5.6%)は緩いのでSL8寄り、激坂はAethos
  • ホイール一瞬Rapideに迷ったが、使用場面・コスト・「己を鍛える」でやめた
  • 結局効くのは脚(W/kg)とペース。機材より自分

そもそも、レースで走る気はなかった

白状すると、私はAethos2をレースのために買ったわけではない。買った当時はレースで結果を追う気がなくて、普段のライドを気持ちよく走れることを優先して選んだ。そして今も、その選択には満足している。Aethosは長く走っても疲れにくく、乗っていて気持ちのいいバイクだ。

ところが最近、富士ヒルゴールドを本気で狙い始めて、少し話が変わってきた。レースで結果を追うとなると、求めるものが「気持ちよさ」から「出力と反応」に寄っていく。買った時の思想と、今の思想が、地味にズレてきたのである。

シートステーに入ったÆTHOSのロゴ
シートステーに小さく入った「ÆTHOS」の文字。レースのためではなく、普段のライドを気持ちよく走るために選んだ一台だ。

昔、Tarmac SL6に乗っていた

実は私、昔はTarmacに乗っていた。SL6、今から2世代前のモデルだ。それでも、踏んだ瞬間の反応の良さと加速感には、はっきりインパクトがあった。脚を入れた分が、そのまま前に出る感じである。

Aethosに乗り換えてその記憶は薄れていたのだが、レースを意識し始めた今、なぜかあの感覚を思い出す。TarmacとAethosはそもそも設計思想が違うバイクなのだと、体で分かっている部分がある。(昔のSL6の話はこちらの記事でも書いている。)

以前乗っていたS-WORKS Tarmac SL6(7.4kg)
これが当時のS-WORKS Tarmac SL6、7.4kg。踏んだ瞬間の反応の良さと加速感は、今でも体が覚えている。

注ぐTarmac、寄り添うAethos

私の体感を言葉にすると、こうなる。Tarmacは、自分からエネルギーをガンガン注いでいくバイク。踏めば踏むだけ応えてくれるが、こちらも気合いを入れて踏みにいく必要がある。一方でAethosは、バイクが寄り添って走ってくれる感じがある。

面白いのは、Aethosは「踏んでいる感じがしないのに、パワーは思ったより出ている」ことがある点だ。必死に踏みにいかなくても、気づけば数字が出ている。Tarmacが「出力を引き出す」なら、Aethosは「勝手に出ている」に近い。どちらが良い悪いではなく、性格がはっきり違う。

Aethos2の赤いフレームのアップ
赤いフレームのアップ。黒の模様がカッコイイ。乗るほどに、相棒みたいな感じが出てきた。性能の話をしているはずが、結局この見た目も気に入っている。

富士ヒル目線で、冷静に比べてみる

ここからは、富士ヒル(平均勾配5.6%・速度はだいたい18〜19km/h)を基準に、AIと一緒に整理してみた。性格の違うバイクを、あえて同じ土俵に乗せてみる。

観点Aethos(私の相棒)Tarmac SL8
キャラクター寄り添って走る・快適エネルギーを注ぐ・反応
重量フレームは軽い(完成車だと差は小)軽い(UCI下限も狙える)
エアロ非エアロエアロ
得意な勾配激坂(8%超)でぐいぐい緩い〜8%、アップダウン
反応・加速穏やか(踏んでないのに出てる)鋭い(SL6でも体感した)
富士ヒル(5.6%)戦えるエアロが少し効く

ポイントはいくつかある。まず重量。フレーム単体ではAethosが軽いが、完成車レベルだと差はほぼ誤差になる。次にエアロ。富士ヒルは平均5.6%と緩めで18〜19km/hも出るので、この速度域だとSL8のエアロは地味に効く。実際、勾配8%あたりが分かれ目で、それ以下はSL8、それ以上の激坂はAethos、という見方がある。富士ヒルは大半が8%以下なので、理屈ではSL8寄りだ。

誤解しやすいのが快適性である。「Aethosは快適だから脚が残る」はよく言われるが、これは"踏む力が減る"という意味ではない。快適なバイクが減らすのは、振動を受け止める無駄な疲労であって、出力そのものは減らない。しかも富士ヒルは舗装が綺麗な登り一本なので、その快適性の効果も実はそこまで大きくない。ついでに言うと「硬い方がパワーが逃げず速い」も、実際の差はごくわずかだ。結局、富士ヒルで効くフレーム差はエアロと重量で、どちらも差は小さい。

激坂なら、やっぱりAethos

念のため言っておくと、Aethosが不利な場面ばかりではない。勾配がきつくなって速度が落ちると、エアロの効きは小さくなり、代わりに車体の軽さがモノを言う。実際、激坂ではAethosは本当によく登ってくれる。富士ヒルはそこまで急ではないが、もっと激しい山なら話は変わる。Aethosは「緩い登りで不利・激坂で有利」なバイクなのだと思う。

登り切った山頂から見下ろす眺望と赤いAethos2
登り切った先の景色。速度が落ちる急坂では、エアロより軽さが効く。ここはAethosの得意分野だ。

ホイールも、一瞬だけ心が動いた

フレームだけでなく、ホイールでも同じ迷いがあった。今はROVAL Alpinist CLX IIIという軽量ヒルクライム向けのホイールを履いているのだが、一瞬、エアロの Rapide CLX III に履き替えようかと思った。富士ヒルでエアロが効くなら、ホイールから攻めるのもありかな、と。

でも、やめた。理由は三つ。エアロホイールが効く場面が限られること。だったら同じお金と労力は、己を鍛える方に振った方がいいと感じたこと。そして単純に、高い。フレームの結論とまったく同じで、ここでも「機材より自分」に落ち着いた。

現用のROVAL Alpinist CLX IIIホイール
現用のROVAL Alpinist CLX III。軽量ヒルクライム向け。Rapideに浮気しかけたが、結局このまま脚を鍛えることにした。

今日の結論

調べる前は「普段使いのAethos」くらいに思っていたが、富士ヒル目線で見ると、確かにTarmac SL8の方がわずかに速そうではある。エアロも反応も、レースで結果を追うなら魅力的だ。それは正直に認める。

それでも、私はAethos2で十分だと思っている。差は数十秒オーダーで、まず効くのは脚(W/kg)とペース。何より、この赤いフレームが気に入っている。乗るほどに、相棒みたいな感じが出てきた。買い替えるより、この相棒で脚を鍛えて富士ヒルゴールドを獲る方が、私には合っている。バイクのせいにするのは、もうやめだ。

自分用メモ

  • 優先機材より脚。W/kgとペースに投資する
  • ホイール当面 Alpinist CLX III で続投。Rapideは見送り
  • 頭の片隅富士ヒルは緩斜面=エアロも効く。でも今は脚